晴耕雨読

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忘れてしまうから残す

背中をひっぱたいて気合いを入れられたいならAge Factoryを観ればいい (10/6奈良公演ざざっと雑記)

10月6日日曜日。かなり天気のいい日、久しぶりに短パンを履いて今気に入っているスウェットを着て家を出る準備をする。「奈良まで行くねん。ライブ見てくるわ。だからまあ、ギリギリに帰って来れるとは思うけど」とばあちゃんに靴を履きながらぼそぼそと、ちょっと恥ずかしがったりしながら伝えたら「ええ、バイトそのまんま行くんかいな!」と全く検討違いな声が帰ってきて、ああライブとバイト聞き間違えたんかなあとか思った。とりあえず行ってきますと家を出た。うわ、間違えた、スウェットはちょっと暑かった。でも夜は寒いっていうしな。まあいい。なんて思いながら奈良に向かう電車に乗ろうと改札を抜ける。Age Factoryに会いに、奈良へ、行く。意気揚々と、そして少しソワソワしながら駅前のローソンで買ったからあげクンレギュラーを頬張って、だらだらと首を流れる汗とともにいつもの電車に乗り込んだ。適当にヘアアイロンで巻いた髪がちょっとうっとうしい。髪を切りたい。


Age Factory ワンマンツアー2019『HOPE』 @NARA EVANS CASTLE HALL 熱くて、暑くて、アツいものもそこにはあって、激しくて、激しすぎてちょっと痛くて、でもそれがどうしたって心地よくて、もう笑うしかなくて、胸にグウッとくるものもあって泣きそうにもなって、考えさせられたりもして、そう、なにもかもが最高にたまらなかった。ああ体力は有り余ってるのに目が足らないやと何度思ったことか。そんなライブだった。2時間があっという間の、そんなワンマン。

一番前に居ることができて、身をもって体験して、心で感じて、考えて、思ったこと。覚えている限りをひたすらに書き出したい書き出してしまってはいつでも読み返したい。でも「一瞬一瞬はすぐに消え去ってしまう」し、でもそれでも初めて観ることができて最高のパフォーマンスを見せてくれた彼らのことも忘れたくなくて。どうするのが正解なのかは分からないけれど、分かるのはエイジは、きっとずっと変わらないってことだとなんとなく思う。まだ自分は何も知らない。これから知るべきこと知りたいことが山ほどある。だから間違っているかもしれない、でも彼らはどうやったってそこに居続けてくれる気がしているし、きっとまたいつでも会えるんだという確信めいたものを私はひしひしと感じた。また会おう、の『また』が彼らにはあるんだと、生を体感して、そう思った。


以下ライブレポというには曖昧な私事満載な手記が続きます。セトリや曲目に関してはほぼほぼ触れてないのに長いかもしれない(否、いかんせんいつもどおり長いです)





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服と靴が丸かぶりした左隣のお姉さんと「この蛍光カラーロンティー着てる人少ないですよね……」「少ないです!目立つって言われましたもん」なんて話したりもしながらニコニコで3人の出番を待ち望む。でもなんかやけに長いなあ、長すぎじゃない?なんでやろう、なんて思ってたら自分でああ、そりゃそうだなと我に返る。こんな真ん前で、ほぼ初めの方に呼ばれて会場内に入ったことがないからその分の時間を今感じてるんだなと。通常なら整理番号待ちをしてる時間に対して今自分は暇を持て余してるんだなと。そうアホみたいにひとり納得しながら、自分の前にあるポールとどう付き合えばいいのかひそかに試行錯誤していた。



ライブが始まればもうそこは戦場。戦場というか、なんかそっち(ステージ)もそりゃあ格闘技でいうリングの中みたいなもんだろうけどまあこっちも同じようなもんだわ、痛えなあと後ろからのひたすら強い圧を受けながら思ったりもしていた。でも嗚呼これこれ〜この押しつぶされ感な〜うん最高最高〜〜と書いてる今も口元が緩んで仕方がない(ドMなわけではない)。エイジは別段いわゆるファンサが多かったり「距離、物理的に近すぎひんか……」なんてことを微塵も(は言いすぎたけどそれくらい)感じなかったし触れられたりできる訳でもなかった。でもみんな前に前に、少しでも前に来たがっているのを一番前でひたすらに感じた。ちょっとでも前に。近くに、じゃない、『前に』の方がしっくりくる。触れたいわけじゃ決してなくて、ただただ『前に』……、いやもうなんかうまく言えないからわかる人には伝わってくれ(やけくそ) こうなんかさ、沸き上がる気持ちを抑えられなくなるっていうかさ、かかってこいよって煽られてんだからそれならこっちはこっちでやってやんよ的なさ(いややけくそかよ)



ボーカル清水エイスケさんの生歌を聞けただけでもかなりの行く意義があると思ったというか、ああ、やっぱりこの人はステージの上がいちばんギラギラしてるな、マイクに向かうその姿がいいなと心の底から思った。ドラムとベースの2人よりも断然初っ端から汗だらだらな姿が比較的印象深かったもののそれすらもさも彼になくてはならないある種の(生理)現象のような気もした。それがよかったみたいなところもある。目を瞑ればその瞼にグッと胸というかもう心臓を鷲掴みにされたような気分になったし、グワッと眼球が飛び出るんじゃないかってくらい見開かれたそれを見てしまえばもはや心がたまらず踊り狂ってしまうような興奮を覚えた。ステージの中央にそれこそ踊り狂いながら、ギターを鳴り響かせ歪ませながらやってくる姿には体の底の方から熱量を搾り取られてしまうんじゃないかとさえ感じた。

ずっと彼は空を見ていたような、そんな視線の使い方をしていたから目を合うことは1度たりとも無かった。けれどそれで全くもって良かった。それでいい、それがいい、ぜひそうしてほしい。だってあんな凄まじく熱のこもった意思の強すぎるギラついた目に、自分のこんな解け切った、楽しみすぎたライブに緩みまくった目を射抜かれてしまってはもうまともな顔ができなくなるだろうから。




サブスクやCDでエイジの音源を聞いていて、ウーンこれをライブで聞くとなるとどう聞こえるんやろ、とは思っていたけどかなりいい意味で同じようなものを感じたし、いやむしろそれ以上のものがやはり生だから感じられて、「いや好きすぎる」などという感情がムクムクと湧き上がってきたりしていた。わりと記憶に残っているのは『Puke』の冒頭「瞑想 Japanese お前だよ」だろうか。いや、だろうかとか言いつつ(そういう歌詞やったんや……)と今書いていてなるほど納得してしまった自分に自分でツッコミをいれたしそもそももしかするとサブスクで聴きすぎてそれとごっちゃごちゃになってるのかもしれないとも思ってけっこう愕然としている。んー、エイスケさんの歌のうまさうんぬんの話をできるほど聞き込みが足らんってことやな……。ただ弾き語りイベントに対するモチベーションがかなり上がった。次エイスケさんがなにかそういった類のものに出ることが決まったら意地でも行ってしまいそ…… (そういうことです)(無理やり締める)



感覚ピエロ、LAMP IN TERREN、THE ORAL CIGARETTESフレデリック、これらバンドのそれぞれのベーシストが断トツで好きだし基本的に感エロベース担当滝口さんを大好きになってからというものベーシストのベースパフォがおそらく自分のなにか琴線に触れるのであろうとは思っているのだけれど、エイジの場合は音源を聞いているうちMVを見ているうちにドラムの増子さんに興味がムクムク湧いていた。これはしかしエイジのベース担当西口さんがどうのこうのというわけではなく、むしろ西口さんに目が向くそのもの以前に正直に言うと増子さんのビジュアルにも惹かれてしまった側面もむちゃくちゃあるので悪しからず。いやそもそも名前がいい。増子央人さん。一見したとき、えっ歴史人物の名前……?なんて思ってしまったけど読み方がマシコナカトなのでまったくかわいい。ついつい増子さんと呼びかけたくなるかわいさ。話が逸れた。


エイスケさんの目もつくづく印象的で忘れられない目だよなあと思ってはいたけど増子さんもかなり負けてはいないと思う。これはライブをたくさん見て検証するなどしたいのだけれど、エイスケさんは空を、天井を、遠いどこかを見つめている印象で、じゃあ増子さんはというとわりと地面というか近いところというか、ひたすらにその自分にのみ与えられた真ん前、のようなものを見ているような、そういう印象を受けた。しかもめっちゃくちゃ真剣なのね。ガンつけられてんのかな…… っていうくらい真剣だから見つめるのもはばかられるくらいだったんだけど怖いもの見たさに近づいていく、あれみたいな感じでついつい見入ってしまっていた。ちょっとなんの話をしてるか自分でも分からなくなってきたけど増子さんの目がひたすらにとにかくよかった!という話をしています。


上にも書いた通りあまりドラマーに着目したことがなく知識もほぼ皆無だし、これは別にドラムに限った話じゃないけど演奏する姿がかっこいいなんてめちゃくちゃ当たり前だしみんなかっこいいに決まっている。じゃあどこをどういう風にみれば「ドラムかっけえ……ドラムうま……」となるかが分からないなとは思ってはいたんだけど、増子さんはこう、なんかかっこよかったな…… なんていうんだろうな…… あんな決して大きくない身体から繰り出される激しさと繊細さのバランス……?まあやっぱりぜんぜんわかんないんだけど(わからんのかい) 見る、とりあえず興味を持って見てみるって大事だなと思いました。最前まで連れて行ってくれた友人にも話したけど、ライブに参戦して増子さんだけを見つめてみたい。ああ、やっぱりそうなると目が足らない……



ベースの西口さんはいやちょっとかわいすぎやしないか……?かっこいいというより美しい系……?いやかっこいいもめちゃくちゃ普通にあるな、というのが第二印象(ほぼ全部では?)。第一印象は「えっ 西口さんだけウィキの情報多ッ!!」だったりTwitterだったりしていたのでわりと西口さんに対してだけはハテナを6つ8つほど思い浮かべながらのライブで初めまして〜だったんだけど西口さんは西口さんで、それはもう度肝を抜かれてしまったところがある。見た目とベースパフォの、あまりにもありすぎる最高のギャップ。おやすみだったかなにかが書かれた趣味全開のロンティーとのギャップ(もはやそれをギャップと言っていいのかは分からないが)。最前にいてエイスケさんを見ていると自ずと西口さんも、むしろ増子さんですら視界から惜しくも外れてしまうので首を振ったりして見逃したくないと言わんばかりに西口さんのことも何度も振り返っては見ていたのだけれどたまたま見たスラップにそりゃもう釘付けになってにやけるなどしてしまったり。西口さんの指がもう長くて綺麗でなんのって……。身長の小さな、感エロ滝口さんのような小柄なベーシストがめちゃくちゃに暴れまくるスタイルもめちゃくちゃ好きだけど、西口さんみたいにタッパがあって指も綺麗でどちらかというと静かで、でもベースラインがめちゃくちゃかっこいいスタイルも好きだな、などと考えていた。



泥臭いのにスタイリッシュ。暑苦しすぎるほど熱く激しいのにどこかシックで芸術のような。うまく言えない、いろんなものが綺麗に、時にはぐちゃぐちゃに混在していて掴みたいのに掴めない。ライブを見て、Age Factory はそんなバンドだなと思った。掴めない。色んな要素を含みすぎていて一言では言い表せない。3人が3人ともバラバラでいるのがそれが味のような気もする。でもそんなことはない、ガチガチに歯車は組み合わさっているんだろうとも思う。歌に対して今回はあまり書かなかったが歌はもうズズッと心の奥底まで入り込んでくるような、そんな魅力がある。歌詞は抽象的で分かりやすいわけじゃなくて、でも内在している、その中身のようなものはちゃんとあとからじわじわ染み込んでくる。『ロードショー』なんかは私にとってかなりそういう感じで「そうだろ」「じゃあさ」を聞くとどうしたって心が叫びだそうとする。好き嫌いは分かれているのかもしれない、ただそれは今現在の話だ。これからは分からない。彼らは変わらないだろうけど周りは変わっていくのかもしれない。




「変わらないここが好きだし、変わらない俺(たち)が好きです」


そう断言したエイスケさんの言葉が、声色が、囁きがずっと忘れられない。次に会った時、またもっともっと好きになって、自分以外にももっとずっとエイジを好きになった人で溢れた会場で彼らとまた会えた時、『おかえり』なんてありきたりで小っ恥ずかしい言葉はたぶん、きっと口にされなくたって彼らのなにもかもから伝わってきそうな気がする。

不器用な3人に、むしろ器用すぎるのかもしれないAge Factoryに、バシンと背中を叩かれたような気分に今なっている。いってこいと言われたような、クソみたいな日常をぶっとばしてこいなんてちょっと野蛮な言葉で背中を押されたような、そんな気もしている。試合のコールが鳴る前に白線の上に1列に並んで背中を叩きあった、あの悔しくも切なくもあり、でもこれからも一生大事にしたい後悔したくない高校時代を久しぶりに鮮明に、たくさんの笑顔と一緒に思い出した。思い出すことができた。アンコール終わり、「ありがとう!」と大きな声で真後ろから叫んでいた女の子の声が右耳に響いている。ありがとう。最高のライブでした。



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(文字総数5358文字!完走に大感謝!)