晴耕雨読

晴耕雨読

忘れてしまうから残す

727 再び東京へ

初めて東京に夜行バスで行ったのは舞台を見に行くためだった。その時の到着場所はたしか池袋で、翌日のバスの発車場所も池袋で、舞台に見に行く時間以外の場所はほぼ池袋周辺で過ごしていた。怖かった。迷って変な場所にたどり着いて、帰りの夜行バスに乗り遅れてしまうのではないかと不安だった。お金がなかったこともその不安を2倍3倍にもしていた。それでも見た舞台は今でも思い出せるくらい良くて、最高だった。わざわざ1人でバスに乗って知らない土地に降りて、不安になりながらも見た舞台が良かったから何もかもがよかった。それからずっと、東京が好きだ。夜行バスに揺られて到着する早朝に見る未だに記憶が曖昧な東京の駅が、ずっと好きでたまらない。東京に対する憧れはたぶんそこから来ている。住んでしまえば夜行バスを使うことはないだろうに、ずっと住みたい気持ちばかりが大きくいつも頭の中に存在している。


今もまた夜行バスに揺られて東京に向かっている。今回の目当てはLAMP IN TERRENの野外音楽堂での野外ライブ。ギリッギリまで布団の上で迷って迷って迷って、もうそんなに迷っている時点で答えは決まっていただろうに、迷いに迷って夜行バスとそのライブのチケットを「えいっ!」と18時過ぎに購入した。1万以上した。財布は泣いている。急いでシャワーやらなんやらの支度をしてばあちゃんが用意してくれていた土用の丑の日用のうなぎを食らって、極力減らした荷物を持って飛び出してきた。ああ、アホなことをしているな、と電車に飛び乗る前に思った。20時20分、なんば近くのバス停にて夜行バス発車。車内は緩く空いている。隣はいない。興奮かなにかからか眠れる気が全くしない。夜は長そうだ。


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