晴耕雨読

晴耕雨読

忘れてしまうから残す

あだ名をつけてくれた彼女へ

私にはあだ名が多い。普通の苗字にちょっと珍しい名前なのだが、不思議と最近も少しずつ増えている気がする。


そんな私のあだ名のなかにひとつ、奇妙なものがある。



「鼓ってなんか響き的に『包む』っぽいから、ラッピングでらっぴーとかええんちゃう?」


高校の頃にあだ名をやたらとつけようとするクラスメートがいた。そんな彼女に突拍子もないあだ名をもらい、そしてそれはもれなく広まった。

どこかで誰かが聞き間違えたのだろう。『ら』が『だ』に変わり『だっぴー』になり、さらに『だぴお』に進化し、今現在もそう呼んでくる友人が3人か4人は居る。そしてそれは、自分の中でも不思議としっくりきていて、そのあだ名をつけてくれた彼女のことは未だに忘れられないのだ。


名前は思い出せない。その当時はぜんぜん親しくもなかった。顔も髪型も、声までもがそのセリフとともにしっかりと再生されるのに、彼女がいったいどんな人物で、どんなことを考えていたのか、好きなものはなんだったのか、どれもこれも、分からない。


元気にしていますか?
鎌倉に来てからそんなへんてこな名前で呼ばれることはありがたいことに一度もありませんが、あの頃のわたしにあだ名をつけてくれて、どうもありがとう。
たしかあなたは、いろんな人にいろんなあだ名を考えてあげていましたね。
今でも同じようなことをしているのでしょうか。
どんどん続けて。
私は今でもそのあだ名が大好きだから。
気に入っているから。
ありがとう。
お元気でね。