晴耕雨読

晴耕雨読

忘れてしまうから残す

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最近雨が多い気がする。寒さで凍える白い季節になり変わろうとしているのか肌寒い気温にどんどん身につける服が重く厚くなっていく。母は極度の冷え性で寒がりのため、実家にこの間行ったらもうコタツが出ていた。よく記憶にあるいつもの赤い、なぞのひねくれた模様が入った毛布。「もう出すんかよ!」暑がりの父はきっとそう言ったことだろう。これも毎年のことだ。私も同じく暑がりなので毎年のように言っていたなと思いながら、その日は雨の音に耳を傾けそれに少しだけくるまって眠った。なかなか雨が止まないので仕方ないなと傘をさしながら帰った。どこもかしこも秋冬モードだ。服屋も、店も、街も、空も、空気も、家も、そして自分の気分も。夜勤帰り、朝風呂をやっている銭湯に入りゆっくりしてさあ帰ろうか、と出口を出ようとした瞬間に「綺麗になったよ」と番台のお姉さんに突然言われて咄嗟に反応が遅れてしまったり、イオンへ寄って好きな雑貨屋に入り10月始まりのスケジュール帳と松浦弥太郎の『おとなのきほん 自分の殻を破る方法』を買ったり、めちゃくちゃ寝るなどした。スケジュール帳ははじめに目をつけていたものとはちがう、時間軸が縦にならんでいる、或程度書きやすさのあるものにした。本を買う、その瞬間は読みたくてたまらないのに家に帰るとその気持ちが失せていくあの感覚はなんなんだろうか。夜はばあちゃんがステーキを焼いてくれた。美味しかった。フィギュアスケート女子のショートプログラムを見ながら食べていたが4回転を飛べてしまうロシアの15歳の選手はなんだかちょっとずるいなと思った。ずるくないのに本人の努力もなにも加味せずそう思ってしまう自分の醜さに気付かないふりをしながら、ステーキの付け合せのにんじんとじゃがいもをおかわりする。それも紛うことなき美味しい料理だった。なんとなく昨日のカレーライスはないのかなあと考えているとじいちゃんがまったく同じことを考え、しかしそれを口にしており、「肉あるのにカレーのことなんて考えんな!肉食べろ肉!」とばあちゃんに怒られていて、内心ホッとした。なんとなくこの日は運がいい日だったように思う。明日はどん底なのだろうか、なんてことを考える間もなく夜もまた、すんなり眠りについて深夜にぱちりと目が覚め、冴えていくのだろう。




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