父方のおじいちゃんが死んだ時、私はまだとても小さかったのに、ギャンギャン泣きわめくほど、悲しかった記憶がある。
いや、嘘だ。
悲しかったかどうかなんて覚えちゃいない。
小学生にも満たない頃の話なんて、小学生の頃の話もぼんやりとしか思い出せないのに思い出せやしない。
でも泣いてた。泣いてる。記憶の中のわたしはものすごく泣いてるんだ。
おじいちゃんが入ってるであろう棺にすがりついて、いつまでもずっと。
悲しいとか、つらいとか、たぶんそういうのを理解しないままに、人がこの世からいなくなるってことに、泣いてたんだと思う。憶測だけど。
じいちゃん、元気か?
麦わら帽子を見かける度に、思い出します。
声がでかくて、うるさくて、うるさくて、うるさいじいちゃん。
また帰るよ。待っててね。