晴耕雨読

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忘れてしまうから残す

0627 馬鹿は風邪をひかない

なんでなんだろう。めちゃくちゃ元気だとずっと思っていた。ご飯があまり食べられていない、食欲不振だなんだと他人の目に触れるところでは言いつつ、とはいえ別に普通に食べてるっちゃ食べてるし、睡眠不足、っていうほどぜんぜん眠れないわけではないし、と、ずっと思っていた。「最近冷たくない?全然話してくれへんやん」とバイト先で言われても、ついこの間に飲みに誘ってくれた先輩に何度も何度も「元気ないやんけ。どうしたん」と言われても、「いやいや!そんなことないですよ!」とか、「いや〜梅雨なんで調子悪くて〜。仕方ないですねこればっかりは(笑)」などとヘラヘラ笑って言っていた。だってその時は本当にそう思っていたのだ。梅雨だし、低気圧だし体がだるくなるのは仕方の無いことだし、給料が低かったのはたしかに相当ショックではあったけどそんなの私だけじゃないし、むしろわたしは実家があるからまだまし!そんなことより先輩たちの方が、と、本当にそう思って、まったくなにも、疑いもしていなかったのだ。


でも違った。これは完全に“疲れている”。いや、「もう、つかれた」。そう呟いたら一気に気持ち悪いくらいに涙が出てきて、そこでやっと、ああそうか、と理解する。わたしはどうも、ずーーっと突っ走りっぱなしだったらしい。なんかしんどいなと思い始めたのは6月の頭くらいからだったから、この1ヶ月ずーーっと、わたしは自分で自分の首を締め続けていたらしい。馬鹿はわたしだった。『馬鹿は風邪をひかない』を地で行く人間がまさかこんなところに、いやまさか自分だったとは。それに、先輩たちの方がわたしのことをちゃんと見てくれていた、ちゃんと異変に気づいてくれていた、そのことを理解できなかったことが情けないなと思う。そして、すごくすごく、申し訳ない。差し伸べられていた手を、ずっとわたしが握ろうとさえもしていなかった事が、ものすごく、ほんとうに、ものすごく。




馬鹿は風邪をひかない。でもずっと気づかないわけじゃないだろう、いつかは「あれ?やっぱりなんかおかしくない?」と気づく、気づいてしまう。ただ、気づいた時にはもう既に重症なのだ。最悪のパターンまでいくとすると、たぶん、まあ私の憶測なだけだけど、そうやって『いつのまにか蓄積させてしまったストレス』で人は死んでいくんだと思う。馬鹿は風邪をひかない、なんて言うことわざこそ馬鹿にはできない。今、この取り返しのつきそうなタイミングで気づくだけ、気づいただけわたしはたぶん、そこまで馬鹿じゃない、のだろうか。いやまあ、そう思いたいだけみたいなところもある。でもよく良く考えれば予兆のようなものは沢山あったんだよな。3食まともに食べていないし、2時3時に起きてることなんてザラだったし、最近どうも部屋を片付ける気力が全くないし、最近はこまめに洗濯物を回さなくなっていたし。え?そりゃあ疲れてるだろ、馬鹿なの?と今の自分ならそう思うが、気付かないというより、なんだろう?『気付きたくなかった』の方が近いんだろうか。わたしは大丈夫だから、と、わたし自身を安心させて、たくさんの仕事をこなしたかったんだろうか。いやなんかもっと、なんかもっとしっくりいくものがある気がする…。

こうやって相変わらずちゃんと理解できていないから、この先もきっと何度もこの壁にぶち当たってしまうんだろうと思う。今までも何度もそうだった、うん、馬鹿だなほんとに。ずっと元気がないことを心配してくれていた先輩の言葉を借りると、「お前は真面目に見せかけた馬鹿」。いやー全くその通りです。頭があがらないな。ま、とりあえずね、ちょっと休憩しようよ。気づいただけえらいんだからね、わたし。